不動産投資の収益計算完全ガイド|初心者でも失敗しない計算方法と注意点

不動産投資で成功するために最も重要なのは、正確な収益計算です。計算を曖昧にしたまま物件を購入すると、想定していた利益が得られず、最悪の場合は赤字経営に陥る可能性があります。

本記事では、不動産投資初心者でも理解できるよう、収益計算の基本から注意点まで詳しく解説していきます。適切な計算方法を身につけて、確実に利益を生み出す物件選びを実現しましょう。

目次

不動産投資の収益計算が重要な3つの理由

不動産投資において収益計算は単なる数字の把握ではありません。投資の成否を左右する重要な判断材料となります。

  • 投資リスクの事前把握
  • 適正な物件価格の判断基準
  • 金融機関からの融資獲得に必要

投資リスクの事前把握

収益計算によって、投資に伴うリスクを数値化して把握できます。例えば、空室率を考慮した実質利回りを算出することで、満室時の想定収益だけでなく、現実的な収入予測が可能になるのです。

計算式に基づいてさまざまなシナリオを想定すれば、金利上昇や家賃下落といったリスク要因が収益にどの程度影響するかも事前に把握できます。修繕費や管理費などの支出項目も含めた総合的な収支分析により、投資判断の精度が向上するでしょう。

特に初心者の場合、楽観的な想定に陥りがちですが、正確な計算方法を身につけることで現実的な投資戦略を立てられます。リスクを数値で理解しておけば、想定外の事態が発生しても冷静に対処できるはずです。

適正な物件価格の判断基準

収益計算は物件価格が適正かどうかを判断する重要な指標となります。表面利回りや実質利回りを算出することで、同じエリアの類似物件と比較検討が可能になるのです。

価格交渉の際も、計算に基づいた根拠を示すことで説得力のある提案ができます。売主が提示する価格が相場より高い場合、収益性の観点から適正価格を算出し、交渉材料として活用できるでしょう。

また、将来の売却を想定した場合の資産価値も収益計算の要素に含まれます。キャッシュフローだけでなく、売却益も含めたトータルリターンを計算することで、真の投資価値を見極められます。投資判断の精度を高めるためにも、複数の計算方法を組み合わせた総合的な評価が必要です。

金融機関からの融資獲得に必要

金融機関は融資審査において、物件の収益性を重視します。正確な収益計算書の提出によって、返済能力を数値で証明できるのです。

担当者は、提出された収支計算書の妥当性を厳しくチェックします。楽観的すぎる想定や計算ミスがあると、融資承認が困難になる可能性があります。逆に、保守的で現実的な計算に基づいた事業計画書があれば、金融機関からの信頼を得やすくなるでしょう。

融資条件の交渉においても、収益計算は重要な役割を果たします。物件の収益性が高いことを数値で示せれば、より有利な金利での借入が実現する可能性があります。投資家としての信頼性を高めるためにも、精度の高い収益計算は欠かせません。

不動産投資の基本的な収益指標とその計算方法

不動産投資の収益性を測る指標は複数ありますが、最も基本的なのが利回り計算です。正しい計算方法を理解して、物件の真の収益性を見極めましょう。

項目表面利回り(グロス利回り)実質利回り(ネット利回り)
計算式年間賃料収入 ÷ 物件価格 × 100(年間賃料収入 – 年間諸経費) ÷ 物件価格 × 100
特徴– 計算が簡単で、物件の基本的な収益性を把握しやすい。
– 不動産広告でよく使われる。
– 管理費、税金、空室リスクなどの経費を考慮するため、より現実に近い手取り収入を予測できる。
注意点経費が含まれていないため、この数値だけで投資判断するのは危険。あくまで初期の比較検討に用いるべき。経費の項目を漏れなく、かつ現実的な数値で計上する必要がある。

表面利回り(グロス利回り)の計算

表面利回りは、年間賃料収入を物件価格で割った最もシンプルな収益指標です。計算式は「年間賃料収入 ÷ 物件価格 × 100」となります。

例えば、3000万円の物件で月額家賃が12万円の場合、年間賃料収入は144万円です。表面利回りは「144万円 ÷ 3000万円 × 100 = 4.8%」となります。この数値は物件の基本的な収益性を把握する際の目安として活用されています。

表面利回りの利点は計算が簡単で、複数の物件を素早く比較検討できることです。不動産会社の広告でも頻繁に使われるため、初心者でも理解しやすい指標といえるでしょう。

しかし、表面利回りは経費を考慮していないため、実際の手取り収入とは異なります。管理費や修繕費、税金などの支出を含めていないので、表面利回りだけで投資判断を行うのは危険です。あくまで初期スクリーニングの段階で使用し、詳細な検討では実質利回りを重視する必要があります。

実質利回り(ネット利回り)の計算

実質利回りは、年間賃料収入から諸経費を差し引いた実質的な収入を物件価格で割った指標です。計算式は「(年間賃料収入 – 年間諸経費) ÷ 物件価格 × 100」となります。

年間諸経費には、管理費、修繕積立金、固定資産税、都市計画税、火災保険料、管理会社への委託手数料などが含まれます。空室リスクも考慮して、想定される空室率分を差し引いて計算するのが一般的です。

先ほどの例で、年間諸経費が50万円、空室率を5%と想定して考えてみましょう。実質的な年間収入は「144万円 × 0.95 – 50万円 = 86.8万円」となり、実質利回りは「86.8万円 ÷ 3000万円 × 100 = 2.89%」です。

実質利回りは表面利回りより低くなるものの、実際の手取り収入に近い数値が算出されます。投資判断においては、この実質利回りを重視することで、より現実的な収益予測が可能になります。複数の物件を比較する際も、実質利回りベースで検討することをおすすめします。

利回りを見るうえで気をつけるポイントは、以下の記事でも解説しているので、あわせて確認してみてください。
【初心者必見】マンション投資の利回り完全ガイド|低利回りでも検討すべき物件とは?

収益計算で見落としがちな重要な経費項目

正確な収益計算のためには、すべての経費項目を漏れなく計上する必要があります。初心者が見落としやすい主要な経費項目を確認しておきましょう。

  • 管理費・修繕積立金
  • 固定資産税・都市計画税
  • 火災保険料・地震保険料
  • 管理会社への委託手数料
  • 空室リスクによる収入減

管理費・修繕積立金

区分マンション投資では、管理費と修繕積立金が毎月発生する固定費用です。管理費は共用部分の清掃や設備メンテナンス、管理員の人件費などに充てられます。

修繕積立金は将来の大規模修繕に備えて積み立てられる資金で、築年数が古くなるほど金額が上がる傾向にあります。新築時は月額5000円程度でも、10年以上たって月額2万円以上になるケースも珍しくありません。

これらの費用は物件を所有している限り継続的に発生するため、収益計算では必ず考慮する必要があります。購入前に管理組合の財政状況や修繕計画を確認し、将来的な値上がりも想定して計算に反映させましょう。

一棟物件は、共用部含めて自分で管理会社と契約するか、自主管理を選択できます。自主管理では直接的な管理費は発生しませんが、設備メンテナンスや清掃などの費用は別途必要になることを覚えておいてください。

固定資産税・都市計画税

不動産を所有すると、毎年固定資産税と都市計画税の納税義務が発生します。

これらの税額は物件価格や立地によって異なります。都心部の高額物件では年間数十万円にもなるので、事前に金額を把握しておきましょう。

税額は購入前に市役所で確認できるほか、現在の所有者から固定資産税納税通知書のコピーを見せてもらうことも可能です。中古物件は、前年度の実績値を参考にして計算に組み込みましょう。

火災保険料・地震保険料

建物の火災保険は融資を受ける際に必須となることが多く、地震保険の加入も強く推奨されます。保険料は建物の構造や築年数、所在地によって決まります。

木造建物は鉄筋コンクリート造と比べて保険料が高く設定されています。また、地震リスクの高い地域では地震保険料も高額になる傾向があります。

保険料は年払いまたは長期一括払いが選択でき、長期契約の方が割安になります。収益計算では年額ベースで計上し、キャッシュフロー計算では実際の支払いタイミングに合わせて調整しましょう。

保険内容によっても保険料は変動するため、複数の保険会社から見積もりを取って比較検討するのをおすすめします。適切な補償内容で最も安い保険料を実現することで、収益性の向上につながります。

管理会社への委託手数料

賃貸管理を管理会社に委託する場合、家賃収入の5-10%程度の管理手数料が発生します。管理業務の範囲や地域によって料率は異なりますが、都市部では家賃の5%程度が相場です。

管理手数料には入居者募集、契約手続き、家賃回収、クレーム対応、設備トラブル対応などが含まれます。自主管理と比べて手間は大幅に軽減されますが、その分コストがかかることを理解しておきましょう。

管理会社によっては、入居者が決まった際の広告料や更新手数料なども別途請求される場合があります。契約前に料金体系を詳しく確認し、すべての手数料を収益計算に反映させてください。

管理の質と料金のバランスを考慮して管理会社を選択することが重要です。安さだけを重視すると、入居者対応が不十分で空室率が高くなるリスクもあります。

空室リスクによる収入減

どんなに立地の良い物件でも、空室リスクは避けられません。入居者の退去から次の入居者が決まるまでの期間は家賃収入が途絶えるため、収益計算では空室率を考慮する必要があります。

一般的に、都心部の好立地物件では空室率5%程度、地方都市では10-15%程度を想定しておくと無難です。過去の入居実績や周辺相場を参考に、現実的な空室率を設定しましょう。

空室期間中も管理費や税金などの固定費は発生し続けるため、実際の影響は家賃収入の減少分以上になります。また、入居者募集のための広告費やリフォーム費用なども空室に関連するコストとして考慮する必要があります。

立地条件や物件の魅力度によって空室リスクは変わります。駅近の新築物件と駅から離れた築古物件では、同じ空室率を適用するのは適切ではありません。物件の特性に応じた空室率を設定することが正確な収益計算につながります。

収益計算を行う際の5つの重要な注意点

収益計算の精度を高めるためには、計算方法だけでなく、前提条件の設定も重要です。以下の注意点を守ることで、より現実的な収益予測が可能になります。

  • 楽観的すぎる想定は避ける
  • 将来の金利上昇リスクを考慮する
  • 築年数による家賃下落を織り込む
  • 大規模修繕費用を長期で見積もる
  • 税金や節税効果も含めて総合判断する

楽観的すぎる想定は避ける

収益計算では、希望的観測ではなく保守的な想定を用いることが大切です。特に初心者は物件の魅力に目を奪われ、楽観的な数字を使いがちですが、これは投資判断を誤らせる原因となります。

家賃設定においても、周辺相場の上限値ではなく、平均的な水準で計算することをおすすめします。新築プレミアムがある場合でも、築年数の経過とともに家賃が下がることを前提とした計算が必要です。

空室率についても、管理会社の「空室はほとんど出ません」という営業トークを鵜呑みにせず、客観的なデータに基づいて設定しましょう。過去の実績や同じエリアの類似物件の状況を参考に、現実的な数値を使用してください。

収益計算の目的は、最良のシナリオを描くのではなく、想定されるリスクを含めた現実的な収益予測を行うことです。保守的な想定で計算しても十分な収益が見込める物件こそが、投資価値のある物件といえるでしょう。

将来の金利上昇リスクを考慮する

変動金利でローンを組むなら、将来の金利上昇が返済額に与える影響を計算に織り込む必要があります。現在の低金利環境が永続することを前提とした計算は危険です。

金利が1%上昇した際の返済額増加分を試算し、その状況でも収益が確保できるかを確認しましょう。特に高額の借り入れになる一棟物件では、金利上昇の影響が収益に大きく響くため、注意深い分析が必要です。

固定金利を選択する場合でも、借り換えのタイミングで金利環境が変わっている可能性があります。長期的な投資戦略を立てる際は、複数の金利シナリオでの収益計算を行うことをおすすめします。

金利上昇リスクに備える方法として、繰り上げ返済による借入額の減少や、より安定した収益が見込める物件への投資があります。リスク管理の観点から、金利変動に対する余裕度を確保した投資計画を立てることが重要です。

不動産投資におけるさまざまなリスク対策は以下の記事でも解説しています。
不動産投資はリスクしかない?対策や失敗しないコツ、おすすめサービスを紹介

築年数による家賃下落を織り込む

不動産は築年数の経過とともに資産価値が下がり、それに伴って賃料も下落する傾向があります。新築時の家賃水準が永続することを前提とした計算は現実的ではありません。

一般的には、築10年で新築時の9~8割程度まで下がるとされています。ただし、立地条件や建物の管理状況によって下落率は変わるため、類似物件の築年数別家賃相場を調査することが重要です。

リノベーションや設備更新により家賃下落を抑制することも可能ですが、その費用も計算に含める必要があります。長期的な収支計画では、定期的なリフォーム費用を織り込んだシミュレーションを行うと安心です。

家賃下落を前提とした計算でも収益性が確保できる物件選びが、長期投資成功の鍵となります。短期的な高利回りに惑わされず、将来的な収益の持続性を重視した判断を心がけてください。

大規模修繕費用を長期で見積もる

建物は定期的な大規模修繕が必要で、その費用は物件の収益性に大きな影響を与えます。区分マンションでは修繕積立金として毎月徴収されますが、一棟物件では自分で計画的に資金を準備しなければなりません。

外壁塗装、屋上防水、給排水管交換などの大規模修繕は、10-15年周期で実施するのが一般的です。一棟アパートの場合、1回あたり数百万円から1000万円以上の費用がかかることもあります。

修繕費用の見積もりは、建物の構造や築年数、立地条件などを考慮して専門家に相談することをおすすめします。過去の修繕履歴がある中古物件では、前所有者から情報を入手できる場合があります。

長期的な投資計画では、大規模修繕費用を年割りして毎年の経費として計上する方法もあります。突発的な支出に備えて、常に一定額の修繕資金を確保しておくことが安定経営につながります。

税金や節税効果も含めて総合判断する

不動産投資では、所得税や住民税などの税金も大切な要素です。特に高所得者の場合、不動産投資による節税効果が投資判断に大きく影響することがあります。

不動産所得は他の所得と合算される総合課税のため、給与所得が高い人ほど高い税率が適用されます。減価償却費や各種経費を計上することで、課税所得を圧縮できるでしょう。

ただし、節税効果だけを目的とした投資は危険です。不動産投資自体の収益性が確保されていることを前提として、追加的なメリットとして節税効果を評価すべきです。

税制は変更される可能性があるため、現在の制度だけでなく、将来的な制度変更リスクも考慮した計画を立てる必要があります。税務については専門家に相談し、アドバイスを受けることをおすすめします。

節税については、以下の記事でも詳しく解説しているので、確認してみてください。
【2025年最新】不動産投資の損益通算とは?節税効果を最大化する方法と注意点を徹底解説

物件タイプ別の収益計算のポイント

不動産投資にはさまざまな物件タイプがあり、それぞれ収益計算で注意すべきポイントが異なります。物件の特性を理解したうえで、適切な計算方法を選択しましょう。

  • 区分マンション投資
  • 一棟アパート・マンション投資
  • 戸建て投資

区分マンション投資

区分マンション投資では、管理費と修繕積立金が重要な経費項目となります。これらの費用は管理組合の決定により変更される可能性があるため、過去の推移と将来計画を確認することが必要です。

修繕積立金は築年数とともに段階的に値上がりするのが一般的で、新築時の金額で長期計算を行うと実際の支出と乖離します。管理組合の長期修繕計画を入手し、将来的な負担額を予測して計算に反映させましょう。

区分マンションは1室のみの所有のため、空室時の収入はゼロになります。リスク分散ができないため、立地条件や物件の魅力度が収益性に直結します。周辺の賃貸需要を詳しく調査し、空室リスクを最小限に抑えられる物件選びが重要です。

また、管理組合の運営状況も収益性に影響します。適切な管理が行われていない物件では、資産価値の下落や想定外の修繕費用発生のリスクがあります。管理組合の財政状況や運営方針を事前に確認することをおすすめします。

一棟アパート・マンション投資

一棟物件では複数の部屋からの家賃収入があるため、収益計算がより複雑になります。各部屋の家賃設定や空室率の想定を個別に行い、全体の収益を積み上げて計算する必要があります。

部屋タイプや階数、向きによって家賃水準が異なるため、画一的な計算では正確な収益予測ができません。過去の入居実績がある場合は、部屋別の空室率や家賃推移を詳しく分析しましょう。

大規模修繕費用の負担が大きいのも一棟物件の特徴です。外壁塗装、屋上防水、設備更新などの費用を長期的に見積もり、年割りして経費に計上することが重要です。建物の構造や築年数に応じて、適切な修繕計画を立てる必要があります。

一棟物件では管理方法の選択肢が広く、自主管理から管理会社への全面委託までさまざまです。管理方法によって収益性が変わるため、自分の投資スタイルに合った管理手法を選択し、それに応じた計算を行いましょう。

戸建て投資

戸建て投資では、土地と建物の価値配分が収益計算に影響します。土地は減価償却できないため、建物部分の割合が高いほど節税効果が大きくなります。購入時の価格配分を適切に設定することが重要です。

戸建ては一般的に長期入居になるため、空室率は低めに設定する場合があります。ただし、一度空室になると次の入居者が決まるまで時間がかかる傾向があるため、空室期間の長期化リスクも考慮する必要があります。

庭の手入れや建物全体のメンテナンスは入居者負担となることが多いですが、大規模修繕や設備交換は所有者負担です。戸建て特有の修繕項目(屋根、外壁、給湯器など)の交換時期と費用を見積もって計算に含めましょう。

戸建ては土地の資産価値が保たれやすいため、将来的な売却益も期待できます。購入時の土地価格と将来の予想売却価格を比較し、キャピタルゲインも含めた総合的な投資リターンを計算することをおすすめします。

収益計算に役立つツールとシミュレーション方法

正確で効率的な収益計算を行うためには、適切なツールの活用が欠かせません。自分のスキルレベルや計算の複雑さに応じて、最適なツールを選択しましょう。

  • Excelを使った収益計算表の作成
  • 不動産会社提供のシミュレーションツール
  • 不動産投資アプリ「プロパリー」の活用

Excelを使った収益計算表の作成

Excelは不動産投資の収益計算において最も汎用性の高いツールです。自分の投資スタイルに合わせてカスタマイズでき、複雑な条件設定も可能になります。

基本的な収益計算表では、収入項目(家賃収入、礼金、更新料など)と支出項目(管理費、修繕費、税金、ローン返済など)を月別に入力し、キャッシュフローを算出します。関数を使用することで、金利や家賃の変動シナリオも簡単に試算できます。

長期的な投資分析では、築年数による家賃下落や大規模修繕のタイミングを織り込んだ20-30年間のシミュレーションが有効です。内部収益率(IRR)などの高度な投資指標も計算できるため、複数物件の比較検討にも活用できます。

テンプレートを一度作成すれば、物件の基本データを変更するだけで瞬時に収益性を評価できます。投資判断の効率化と精度向上の両方を実現できる優れたツールといえるでしょう。

不動産会社提供のシミュレーションツール

多くの不動産会社では、自社物件の収益性を簡単に計算できるシミュレーションツールを提供しています。物件価格や想定家賃を入力するだけで、基本的な利回りやキャッシュフローが算出されます。

これらのツールの利点は、操作が簡単で専門知識がなくても使用できることです。複数の物件を短時間で比較検討する際の初期スクリーニングには有効です。

ただし、不動産会社提供のツールは、自社物件を魅力的に見せるための楽観的な設定になっている場合があります。空室率や修繕費用が実際より低く設定されていることもあるため、結果をそのまま鵜呑みにするのは危険です。

あくまで参考情報として活用し、詳細な投資判断については自分でより保守的な条件を設定して再計算することをおすすめします。複数の情報源からデータを収集し、総合的に判断することが重要です。

不動産投資アプリ「プロパリー」の活用

Propally(プロパリー)では、不動産エージェントから提案された物件をアプリに登録すると、そのままシミュレーションを行うことが可能です。エージェントに相談しつつ、物件の見極めができるので、自分自身で判断するのが怖いと感じる人にもおすすめです。

まずは自分の属性情報を入力し、不動産エージェントからのオファーを待ちます。アプローチのあった中から、合いそうなエージェントを選び、話を聞いてみてください。不動産エージェントは実績審査を経て登録している不動産投資のプロに厳選しています。ぜひ、提案があった物件を登録し、アプリ内でシミュレーションを行ってみてください。

よくある収益計算の失敗例と対策

収益計算でよくある失敗パターンを理解することで、同じ過ちを避けられます。多くの投資家が陥りがちな落とし穴と、その対策方法を確認しておきましょう。

  • 表面利回りだけで判断してしまう失敗
  • 空室率を甘く見積もる失敗
  • 修繕費用を過小評価する失敗

表面利回りだけで判断してしまう失敗

不動産投資初心者が最も犯しやすい失敗が、表面利回りだけを見て物件を選んでしまうことです。表面利回りは経費を考慮していないため、実際の手取り収入とは大きく異なる場合があります。

例えば、表面利回り10%の物件でも、管理費や修繕積立金、税金などを差し引くと実質利回りが3%程度になってしまうケースも少なくありません。特に築古物件や地方物件では、高い表面利回りの裏に多額の経費が隠れていることがあります。

この失敗を避けるためには、必ず実質利回りまで計算することが重要です。すべての経費項目を洗い出し、現実的な空室率も織り込んだ収益計算を行いましょう。

また、同じエリアの類似物件と比較することで、その物件の表面利回りが適正なのか、何らかの問題があるのかを判断できます。異常に高い利回りの物件には必ず理由があることを理解し、慎重な分析を心がけてください。

空室率を甘く見積もる失敗

「立地が良いから空室は出ない」「新築だから当分は満室」といった楽観的な想定で空室率を設定してしまう失敗も頻繁に見られます。どんなに条件の良い物件でも、空室リスクは必ず存在します。

特に地方都市や郊外エリアでは、人口減少により賃貸需要が年々減少している地域も多いです。現在は満室でも、数年後には空室率が大幅に上昇する可能性があります。

空室率の設定では、過去の入居実績だけでなく、将来的な人口動態や周辺環境の変化も考慮する必要があります。最寄り駅の乗降客数推移や、周辺の新築供給予定なども調査して、総合的に判断しましょう。

対策として、複数のシナリオでの収益計算を行うことをおすすめします。楽観的、標準的、悲観的な3パターンの空室率で計算し、最悪のケースでも投資が成り立つかを確認してください。

修繕費用を過小評価する失敗

建物の修繕費用を実際より安く見積もってしまう失敗も多く見られます。特に築古物件では、購入後すぐに大規模な修繕が必要になるケースがあります。

給湯器やエアコンなどの設備は耐用年数があり、築年数に応じて交換時期を予測できます。しかし、これらの費用を計算に含めていない投資家は意外に多いです。

一棟物件では外壁塗装や屋上防水などの大規模修繕費用が、数百万円から1000万円以上になることもあります。これらの費用を事前に見積もっていないと、キャッシュフローが大幅に悪化する原因となります。

修繕費用の適切な見積もりのためには、建物診断を専門家に依頼することが有効です。購入前に建物の状態を詳しく調査し、今後10年間に必要な修繕項目と費用を洗い出しましょう。

また、修繕積立として毎月一定額を確保しておくことも重要です。突発的な修繕に備えて、家賃収入の10-15%程度を修繕費として計上することをおすすめします。

まとめ:プロパリーで収益計算をして磐石の不動産投資をしよう

不動産投資において、正確な収益計算は成功への第一歩です。表面利回りだけでなく、すべての経費を考慮した実質利回りを算出することで、現実的な投資判断が可能になります。

収益計算では楽観的な想定を避け、保守的な条件設定を心がけることが重要です。空室リスクや修繕費用、金利上昇リスクなどを織り込むことで、想定外の事態にも対応できる余裕のある投資計画が立てられます。

物件タイプによって計算のポイントが異なるため、区分マンション、一棟物件、戸建てそれぞれの特性を理解したうえで、適切な計算方法を選択しましょう。

効率的な収益計算を実現するためには、ツールの活用が欠かせません。特に不動産投資アプリ「Propally(プロパリー)」なら、物件探しから収益計算まで一元的に行えるため、投資判断の効率化と精度向上の両方が実現できます。

優秀な不動産エージェントからの提案を受けながら、瞬時に収益性を分析できる環境を整えることで、確実に利益を生み出す物件選びが可能になるでしょう。正確な収益計算を身につけて、安定した不動産投資を始めてみてはいかがでしょうか

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この記事を書いた人

齊藤 郁織のアバター 齊藤 郁織 (サイトウ イオリ)

Propally株式会社 代表取締役
- 宅地建物取引士
芝浦工業大学卒業後、オープンハウスグループに新卒入社、首都圏を中心に不動産営業に従事。
新卒最年少マネージャー就任、2020年度全国成約数一位を獲得。
在職中、顧客の不動産会社に対する理解度、また業界における物件情報の非対称性に問題意識を持つ。
顧客、業界双方のペインを解消させる為、Propally株式会社を創業。

- 幻冬舎コラム
[連載]初心者必見!業界出身のプロが教える不動産投資業界の裏側

- 代表者公式Xアカウント
齊藤イオリ|不動産投資アプリ

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